第二章 調査方法
以下に本資料で用いる調査の概要を記す。
調査概要
まず、ホフステッドを参考として調査の枠組みを設定し、他国の人々の行動状況を観察し仮説設定を行う。また、時期はずれるがホフステッドと同様なアンケート調査を行い、観察から導かれる仮説の補強・修正を行う。その後、統合された仮説を元に行動し、どのような結果が導かれるかを示す。1予測と結果の差異を比較し仮設の再修正を行う。
主な滞在地域・期間・滞在環境
私の主な滞在地域と期間は以下の通りである。
項番 滞在地域 期間 滞在環境
1 ヤシ市 2005/4/14〜2005/5/12 ルーマニア語の語学学校に通い、ホームステイ先家族と1ヶ月同居
2 ボトシャニ市 2005/5/19〜 県庁にてシステム開発、住居では一人暮らし
文化の次元
ホフステッドは、IBM社員への調査から以下の4つの次元を導き出した。この文化の次元を参考として、次節以降でルーマニア国における人々の価値観を明らかにしていく。
「権力格差指向」とは何か?
ホフステッドの定義によると権力格差指向とは、「それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状態を予期し、受け入れている程度」である。
「個人主義−集団主義」とは何か?
「男性らしさ−女性らしさ」とは何か?
- 男性らしさ
- 男性らしさを特徴とする社会では、社会生活のうえで男女の性別役割がはっきりと分かれている(男性は自己主張が強くたくましく物質的な成功を目指すものだと考えられており、女性は男性より謙虚でやさしく生活の質に関心を払うものだと考えられている)。
- 女性らしさ
- 女性らしさを特徴とする社会では、社会生活上で男女の性別役割が重なりあっている(男性も女性も謙虚でやさしく生活の質に関心を払うものだと考えられている)。
「不確実性の回避指向」とは何か?
ホフステッドの定義によると不確実性の回避とは、「ある文化の成員が不確実な状況や未知の状況に対して脅威を感じる程度」である。
この調査の限界
この調査には以下のような限界がある。
- この調査は、他国の人々の一般的な傾向から他国において取るべき行動を示すことを1つの目的としている。従って、他国の人々の各個人に対してどう行動すべきかまでを示すことは出来ない(一般傾向を把握するにすぎない)。
- ホフステッドの調査は現在から30年以上も前の調査である。従って、現在の国民文化の傾向とは相違する可能性がある。